繍倶楽部だより
ここでは工房や教室の生徒の方々にご自分の作品を紹介して頂きます。
みなさんのお気に入りの作品や、それにまつわるお話しをお楽しみ下さい。
作者への感想や質問がありましたらこちらまでメールでお寄せ下さい。

第1話〜「思い出の刺繍」  繍光 -ぬいみつ- (主宰)
日本の刺繍は飛鳥時代から奈良時代にかけて中国から伝えられ、平安時代〜安土桃山時代を経て現在に至るまで、
多くの方々の一針一針の手刺しによって伝承されてきました。中には刺繍にとっては困難な時代も多かったと思われます。
今、私が日本刺繍にまがりなりにもたずさわっていられるのも、その方々のお陰と感謝しています。

若かりし頃、一人旅の途中で教科書に載っていた奈良・中宮寺の「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」を見たいと
思ったものの、ようやく中宮寺へたどり着いた時にはちょうど閉門。 とても残念でした。
しかし、あれから何十年たったでしょうか。 平成10年秋に徳川美術館(名古屋)の特別展「日本の刺繍」に、
あの「天寿国繍帳」が展示されてると聞いて駆けつけました。
またまた閉館間近ではありましたが、ぎりぎりセーフで見ることができました。

天寿国繍帳」は、飛鳥時代(592〜707年)の頃、聖徳太子の王妃であった橘大女郎が亡き聖徳太子を偲び、太子が往生
された天寿国の様子を采女達に刺繍させたものです。
奈良・中宮寺に伝えられており、全体ではなく断片が残っているのみですが、国宝に指定されています。


出典:「日本の刺繍−飛鳥時代から江戸時代まで−」 徳川美術館 (1998)